■消しゴム山

■作・演出:岡田利規,セノグラフィー:金氏撤兵,劇団:チェルフィッチュ
■世田谷パブリックシアター,2024.6.7-9
■舞台上にオブジェらしきモノが一杯置いてある。 テニスボールや洗剤ボトル、猫看板?、土管や木枠も・・、その奥にあるコンクリートミキサーの回転音が場内に響いている。
役者5人はオブジェを動かしたりするので科白が少ない。 しかも喋る時はコード付きマイクを使います。 この為いつもの身体動作が使えない。 雨具に着替えたりもする。 モノの間を歩くので演技が散漫にみえます。 後半、マイクは使わないがモノをいじったり動かしたりすることが多くなっていく。 話題にするのは洗濯機の故障、タイムマシン、未来人の移民のこと、また詩の朗読も入る。
「津波被害を防ぐ高台の造成工事は驚異的な速度で風景を人工的に作り変え・・」そこから「人間的尺度を疑う作品を作る・・」。 作者の挨拶文です。
洗濯機が故障すると分解され名無しのモノモノに近づく。 防波堤と住民生活の齟齬も語っていたが、巨大な防波堤が生活を圧迫する感覚はモノ不安そのものです。 でも、これらモノモノが舞台上のオブジェに繋がっていかない。
それは、オブジェが舞台に上がると美術を装ってしまうからでしょう。 舞台美術になってしまった。 故障した洗濯機や防波堤とは少し違う。 モノ主役の舞台を長時間も観続けるのはシンドイですね。 かなり疲れました。 いや、この疲労こそ人間的尺度を疑う舞台に接したときの体感なのか?
ところで母子の客が目につきました。 小学生低学年が多い。 舞台を解放すれば子供たちは喜ぶでしょう。