■能楽堂十月「頼政」「飛越」「三井寺」

*国立能楽堂十月特別公演の下記□4作品を観る。
□能・頼政■出演:浅井文義,飯冨雅介,井上松次郎ほか(観世流)
□狂言・飛越■出演:佐藤友彦,今枝郁雄(和泉流)
□一調・遊行柳■出演:山本順之(謡),三島元太郎(太鼓)
□能・三井寺■出演:高橋忍,中村優人,宝生欣哉(金春流)
■国立能楽堂,2021.10.30
■床几に腰かけたままの頼政が交える所作は時折激しくなる。 面「頼政」も目をカッと見開いていて感情が高ぶっているのがわかる。 終幕、床几から立ち上がり刀を捨て次に扇を捨て消えていく。 そういえば前ジテは杖を捨てて立ち去っていたことを思い出す。
「三井寺」を観ながら「頼政」のことを考えてしまった。 「三井寺」のざわつく感じは登場人物の多さからきている。 しかも、まとまっていない。 そして生身の子役が現実の母子の姿に近づける。 「頼政」は頼政の表層でざわめく。 辺りは静かだ。 床几にかけたままの姿もそれを抑制したのだろう。 「頼政」は後味が残らない。 唯一、枯れはてた感覚だけがやってくる。