■「熱海殺人事件」vs.「売春捜査官」

■作:つかこうへい,台本・演出:坂出洋二,出演:杉山英之,木下知恵,猪熊恒和ほか,劇団:燐光群
■下北沢.スズナリ,2019.7.26-8.6
■昭和に戻った舞台だ。 それは暑さをも吹き飛ばすと言うことだ。 しかも円城寺あやが「なごり雪」で登場するから恥ずかしいくらいの戻りようだ。 その時のダンスは笑える。 木村伝兵衛刑事がこのダンスを後で蒸し返すことからわかる。 科白量は多いが役者のパワーで熟している。 下ネタも昭和的だ。 しかし昭和は飽きる。 このまま終幕まで続くのか?
後半に入った途端、沖縄が登場する。 昭和と平成が混ざり合っていく。 と、同時に役者が動かなくなった。 身体も昭和から平成になったのだろう。 高齢化も影響している。 科白も解説調が多くなる。 しかし辺野古基地闘争が暑さをジワリと呼び戻す。 平成の暑さか?
「・・反語の連鎖で語り、あえてシンプルに」していて力強い舞台だ。 そして「人種、出自、性そして女性の社会的地位への偏見・差別」が表裏から迫ってくる。 今年一番の熱さだった。 その暑さの中で、つかこうへいをチラッと見た気がした。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/101006