■ピーター・グライムズ

■作曲:ベンジャミン.ブリテン,指揮:リチャード.アームストロング,演出:ウィリー.デッカー,美術・衣装:ジョン.マクファーレン,出演:スチューアート.スケルトン,スーザン.グリットン他
■新国立劇場.情報センター,2019.8.4(NNTT,2012.10収録)
■情報センターでオペラ録画を初めてみたけど満足よ。 他ライブビューイングと比較してだけど。 もっと酷いかと想像していた。
見知らぬ村落共同体に突然投げ込まれたような感じがする作品だわ。 無調系音楽が共同体の断片しか届けてくれない。 美術と照明も無彩色系の何もない荒れた空間だけ。 北海に面した漁村だというのに海の匂いがまったくしない。 もちろんピーター・クライムズも漁師にはみえない。 彼と少年の関係は複雑だけど舞台では上手く表現されていなかった。 抽象の世界に共同体の雑音が混じりあって心休まる舞台ではない。 歌詞はドイツオペラとは違い経験論が微かに匂う。 でも後半になって、その雑音の中に静かな劇的さが漂い始める。 何とも言えない傑作かもしれない。
1945年戦勝日のロンドン初演は大成功だったらしい。 戦争に勝利した直後にこのような作品がヒットするとはイギリスも大した国ね。 カーテンコールの照明下で一人一人の衣装を初めて眺めることができた。 とても良く出来ているの。 舞台の粗い床は銀色に輝き眩しかった。 2012年に見逃した作品を(映像だけど)みることができて嬉しい。
*NNTTオペラ2012シーズン作品
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000608_opera.html