■怪人二十面相

■原作:江戸川乱歩,演出:山口茜,出演:高杉征司,日置あつし,芦谷康介,達矢,佐々木ヤス子,劇団:サファリ・P
■こまばアゴラ劇場,2019.8.1-4
■科白と身体の独特なシンクロナイズに驚きました。 5人の役者が素早く入れ替わって怪人二十面相の変装を成し遂げる過程は見事です。 言葉も変装していく。 「いつ変装したか覚えていない」と怪人自身が言っている。 彼の人格は一つだと思っていました。 これが崩れてしまった。 彼は二十(=多くの)の他人からできている。 次々と他者に変身していく舞台は不思議感が漂います。 考えさせられました。
科白の連なりを役者間で引き継いでいく舞台はよくある。 でも言葉はそのまま次の役者の身体に移るだけです。 しかし怪人二十面相という変換機構を通すと言葉も身体も変装して次に引き継がれていく。 言葉が引き継がれる身体に反発力が有るから出来ることなのでしょう。 日常動作をダンスに変換しているのも成功の一因です。 科白が身体動作と結合分離を繰り返しこの変換が完成されるということが分かりました。
床穴ライトや指輪ライトなどスポット照明の使い方も面白い。 まとまり過ぎている感じもある。 怪人二十面相が何者なのか?今やっと理解できました。
*サファリ・P第6回公演
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/7973