■アレルヤ!

■作:アラン.ベネット,演出:ニコラス.ハイトナー,出演:サミュエル.バーネット,サシャ.ダワン,デボラ.フィンドレー他
■シネリーブル池袋,2019.7.12-18(ブリッジ.シアター,2018.9.20収録)
■老人介護施設かな?・・、どうも違うらしい。 病院の老人病科の患者たちが主人公のようね。 イギリス医療制度NHS(国民保険サービス)を議論することが物語の背景にあるらしい。 日本の公的医療保険と似たようなものかな?
日本でも国公立病院に入院した経験があればベッド回転率の話は聞くはずよ。 担当医が入院患者をいかに期限内で退院させたいのかが伝わってくる。 率が良いと病院やスタッフの評価に繋がるから。
この回転率を維持しようとする看護師長が次々に患者を殺していくストーリーなの。 彼女は医療と介護の違いをはっきりさせる。 歌やダンスや誕生会は医療現場には不要だと。 彼女の方針はイギリス政府の医療費抑制と一致する。 この病院も閉鎖の危機に瀕しているの。 介護施設はどこも満杯で患者は他に行く場所が無い! NHSは国家予算の25%、因みに日本の医療費は40%、どこも大変ね。
患者たちの出自に絡む会話や世間話が芝居のオモシロイところかしら。 インド系イギリス人医者の苦悩や炭鉱労働者出身親子で職業の話、地方とロンドンの差、クラブの事などなど。 でもイギリスの微妙なところは分からない。 グローバルな問題提起とローカルな内容が絶妙に混ざり合っている舞台だった。
プログラムの書き出しに「2012年ロンドン五輪開会式を思い出して・・」(村上祥子)。 そう、この開会式は同じように社会保障制度をテーマにしていたはず。 資本主義の母国、イギリスとして力の入った内容だったことを覚えている*1。
*1、「ロンドンオリンピック開会式」(2012年)
*NTLナショナル.シアター.ライブ2019作品
*作品サイト、http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/ntlout31-allelujah