■その森の奥

■作・演出:平田オリザ,翻訳:イ.ホンイ,マチュー.カペル,出演:青年団,韓国芸術総合学校,リモージュ国立演劇センター付属演劇学校
■こまばアゴラ劇場,2019.7.5-28
■新作と聞いて駒場に向かった。 「カガクするココロ」と「北限の猿」は過去に観ていたので「その森の奥」のみ選ぶ。
日本語+ハングル語+フランス語の上演だ。 いつも以上に科白量が多い。 しかも大きな机が二つあり別々の話題を同時に喋る場面もある。 このため字幕を読むのに忙しい。 もちろん日本語は字幕に載らない。 この時は目で役者を追うより先に聞き耳を立ててしまう。 字幕から目が離せず芝居の面白さが減少した。
役者の多さ、登場回数や科白の割り当てなどが細かく考えられている。 机二つとプロジェクターの3か所の使い方もだ。 すべて演劇学校への配慮かな? そしてこれが大事だが霊長類の歴史や実証で現代政治の問題をやんわりと批判している。 そういえば類人猿と政治家の行動はどこか似ている。
帰宅して霊長類研究所HPを久しぶりに開けてみた。 登場しなかったが教授が京都大学の設定だったからだ。 企業支援のボノボ研究や屋久島リサーチが載っている。 いつものことだが「猿の惑星」を考えると今西錦司まで遡ってしまうからである。 それは現代生物学との落差に行きつく。 この舞台も霊長類研究と遺伝子操作やゲノム編集との間に断絶がみえる。
アンドロイド演劇はロボット演劇の視点を取り込んで乗り越えようとしていた。 「猿の惑星」を舞台にのせる時も同じ壁が待ち構えている。
*青年団国際演劇交流プロジェクト2019作品
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/7972