■スペードの女王 The Queen of Spades

■作曲:P.I.チャイコフスキー,演出:ステファン.ヘアハイム,指揮:アントニオ.パッパーノ,出演:セルゲイ.ポリャコフ,ウラディミール.ストヤノフ,エヴァ=マリア.ウェストブロック他
■TOHOシネマズ日比谷,2019.3.15-21(コヴェント.ガーデン,2019.1.22収録)
■この作品の面白さは、伯爵嬢リーザを求める士官ゲルマンとエレツキー侯爵の三角関係ではない。 リーザの祖母の賭博秘事でもない。 それは苦悩する作曲家チャイコフスキー自身が登場することだとおもう。 舞台の彼はいつも楽譜を記しピアノを弾き指揮をしているの。 舞台に登場する全てがチャイコフスキーの心象風景にみえる。 同性愛者だったこと死因が生水を飲んだコレラだったことが幾度も語られる。 乳母が翼を持った天使の真似をする場面は19世紀末のエンジェルス・イン・ロシアだわ。 絶頂期の作品だけど苦悩する自伝オペラと言ってよい。 でもチャイコフスキーメロディは多く聴けるし自然描写を歌う場面は素晴らしい。 晴れた日の喜び、小川のせせらぎ、輝く緑、・・。 ウラル時代の幸せだった微かな記憶かしら? すべてが暗い夢の中のような出来事だから盛りあがりに欠けるのね。 一度でいいから夢から覚めてちょうだい。
*ROHロイヤル.オペラ.ハウス2018シネマシーズン作品
*作品サイト、http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=the-queen-of-spades