■タウンホール事件

■演出:エリザベス.ルコンプト,劇団:ウースターグループ
■神奈川芸術劇場.大スタジオ,2018.9.29-10.1
■1971年NYタウンホールで開催された討論会「女性解放に関する対話」のドキュメンタリー映画「タウン・ブラッディ・ホール」(1979年作品)を基にした舞台である。 初演は2016年(?)。 この討論会は作家ノーマン・メイラー、ラディカルレズビアンのジル・ジョンストン、メイラーの友人である文芸評論家ダイアナ・トリリング、そしてメイラーが文学界へ迎い入れようとした作家ジャーメイン・グリアが出席した。
舞台は討論会壇上を模していて当時のタウンホール会場にいるようだ。 そして討論が再現されていく。 映画も映されるので同時に実人物の演技も見るようになる。 仕草も同じ場面がある。 映画からは会場の喧騒が伝わってくるが今この劇場は静かで奇妙な感じだ。 討論から離れて寸劇やノーマン・メイラーの「メイドストーン」(1970年作品)も映し出される。 彼の「女性解放」に対する保守性が感じられる。 変わった舞台だが構造の古臭さもみえる。
アフタートークがあったので席に残る。 出演は批評家内野儀、演出のエリザベス・ルコンプト、ジル・ジョンストンを演じたケイト・ヴァルク。 「完コピでトピカルでカオス的にできている」(内野)。 「いつもドキュメンタリーを考えている」(ルコンプト)。 観客からの質問「MeTooの広がりと関連があるのか?」で「この討論をどう捉えるかは観客である」(ルコンプト)。 ウースター・グループらしい。 ノーマン・メイラーに対しても立ち位置上の評価をしている。 二年前に「初期シェーカー聖歌」を観ているが、この劇団は過去に実在した素材に味付けをして再構成していく手法をとる。 NYの伝説的劇団と言われているがその片鱗を窺うことができた。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/TWG_TTHA