■ROMEO&JULIETS ロメオとジュリエットたち

■原作:W.シェイクスピア,音楽:S.プロコフィエフ,演出振付:金森穣,衣装:YUIMA.NAKAZATO,美術:須長檀,田根剛,出演:武石守正,井関佐和子ほか,劇団:Noism1,SPAC
■彩の国さいたま芸術劇場.大ホール,2018.9.14-16
■舞台美術が素晴らしい。 金色の紐カーテンが背景三面を取り囲んで床には幾つもの半透明ガラスの移動衝立が動き回り、そして舞台状況を後方スクリーンで映し出しているの。 金属的な華麗さが漂うけれど無彩色に近い為かサッパリしている。 衣装はギリシャ風ね。
先ずはプロコフィエフの音楽でロメジュリの世界へ一っ飛びよ。 でもロメオが車椅子で登場した途端これはハムレットだと思った。 ロメオの声が重たかったから。 科白も硬さがある。 ジュリエットは5人のダンサーが演じるけど科白が無い。 うーん、ジュリエットもオフィーリアに見えてきた。 最初は戸惑ったけど外は「ロメジュリ」内は「ハムレット」を演じていると考えれば面白いかも。
SPACの俳優が何人も登ったけどダンスとの融合は苦にならない。 台詞の一部が文字として写し出されてもね。 食事の二場面も日常を意識させない。 後半、金森穣が医師ロレンス役でサングラスをかけて踊る場面は「博士の異常な愛情」のストレインジラブ博士を思い出してしまったわ。 振付も博士に近づけている。 そしてロザライン役の井関佐和子は既にアンドロイドね。
しっかりした構造と様式で感動が昇華結晶していくような舞台だった。 「舞踊家と俳優が渾然一体となった舞踊とも演劇とも名状し難い舞台・・」とあるように劇的舞踊としては一つの到達点に来たように思える。 鈴木忠志のアイデアが多分に見られ俳優はSPACと言うよりSCOTに近い。 演出ノート「恋という病」「自己分裂」「医療信仰」「監視社会」「死生観」の五つは深読みをしないと見落としてしまう。 いつもと違った感覚が残る舞台だった。 当分のあいだ思い出しては場面を反復することになるわね。
*劇場、http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/5158