■原色衝動

■振付・出演:白井剛,キム・ソンヨン,映像写真:荒木経惟
■世田谷パブリックシアタ,2016.2.26-27
■広い舞台に椅子が二つ置いてある。 背景に映される写真は荒木経惟らしい。 知っている荒木の作品とは趣が少し違う。 レトロで深みある色の人形や花である。
二人が登場しキスをするような仕草、少し膨らんでいたチンポコから玩具の怪獣を取りだす。 エロティックな方向へ行くかと思いきや二人は深く悩み苦しんでいるようだ。 顔を紐で縛ったり、床を剥がしたり、それを椅子に縛り付けたりする。 踊るのは数場面で数分しかない。 白井剛の細かな心理表現と比較してキム・ソンヨンは大味である。 キムは身体も硬い。 子供の怪獣が成長し悩み始め出した頃の話に見えた。
ダンスよりパフォーマンスと言ってよい。 写真は終始同じ作品を使い面白味がない。 それよりも椅子を擦る音、コオロギや狼?の声、水の響きなどの音響が良かった。 しかし二人がどんなに苦しんでも写真と音楽の関係がバラバラで集中していけない。
白井剛を調べたら3年前に観ていた*1。 映像・音響・身体の関係を探求しているのはわかるが焦点が定まっていない感じである。
*1、「NODE/砂漠の老人」(KAAT,2013年)
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/20160226genshoku.html