■オペラ・クラブ・マクベス

■原作:W・シェイクスピア,台本:高瀬久男,作曲:林光,演出:眞鍋卓嗣,出演:こんにゃく座
■吉祥寺シアタ,2016.2.5-14
■舞台は劇中劇になっている。 しがないサラリーマンがある酒場に入るとそこでは「マクベス」を上演している。 そして男はいつのまにかマクベスを演じているではないか! 男が王冠を手にするまでの流れは素晴らしい。  酒場舞台上のマクベス夫人を見て(男の)妻ではないかと狼狽える場面、マクベスと(男が)少しずつ同期・一体化していく過程は面白い。
しかしなぜ王を殺すのか? 次々と事が起こる場面ではマクベスと夫人の葛藤や意思が見え難い。 解説のような科白と明るく歯切れの良い歌唱が続く為もある。 人物関係も予習をしておかないと判りづらい。 しかも後半は登場人物が入り乱れるためマクベスの不在が目に付く。 夫婦にもっと焦点を当てないと作品がぼやけてしまう。
歌劇というのは終わってからも演奏と歌唱の余韻で心地よい気分が続くのは嬉しい。 オペラを身近に感じさせる舞台であった。 ところで2幕(後半)は他オペラ劇団でも苦労しているらしい*1。
*1、「マクベス」(MET,2008年)
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/72342