■アンティゴネー

■作:ソポクレス,演出:レオニード・アニシモフ,出演:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
■東京ノーヴィ・レパートリーシアタ-,2016.2.18-27
■「曾根崎心中」ではスーツ姿の役者を予想していたことを思い出した。 今回も予想が外れた。 なんと着物姿である。 箏や桶同太鼓も舞台に置いてある。 演奏者やコロスの歌唱も日本のようだ。 歌詞を覚えていないので題名が探せない。 喋り方も面白い。 抑えた裏声に聞こえる。 顔の中心だけの白塗りは仮面のようにも見えるし化粧にもみえる。 この劇団からはいつも驚きを貰える。
新王クレオンがアンティゴネ幽閉の決断を下す場面、盲目の預言者がハイモーンの将来を語る場面は抑えた声に緊張が走った。 しかし物語は淡々としている。 「私は憎しみより愛を選ぶ」とチラシにあったが、アンティゴネのこの言葉と共に息子の死を知ったクレオンの叫びも山彦のように聞こえ、そのまま時が何事も無く過ぎていく舞台であった。 近づくほどギリシャ悲劇は山彦になるのかもしれない。
*第26回下北沢演劇祭参加作品.
*劇団、http://tokyo-novyi.muse.weblife.me/japanese/pg555.html