■夜中に犬に起こった奇妙な事件

■原作:マーク・ハットン,演出:マリアンヌ・エリオット,出演:ルーク・トレッダウェイ
■東宝シネマズ六本木,2016.2.18-27(NT2012年収録)
■主人公クリストファは15歳の精神障害を持った少年らしい。 多分アスベルガーやサヴァン症候群でしょう。 インターネットで調べたレベルですが。
精神障害やアル中を扱っている芝居は苦手です。 芝居に入る前から壁の存在を意識してしまうからです。
クリストファの演技や役者間の動き、舞台装置は素晴らしい。 しかし隠してあった手紙を読んだあと父の釈明を聞いているクリストファは何を思っているのでしょうか? 母との似たような場面もありましたが彼からの答えはありません。 この壁を黙って見詰めるしかない。 周囲の愛情の遣り取りは豊かですが彼とは非同期な結びつきを描くだけです。 彼の頭の中は情報を処理するだけでオーバーフロー状態になってしまうのでしょうか?
こういう作品をみるとデカルトやニュートンなどの近代科学、これを生み出したキリスト教西洋思想の伏流を強く感じます。 クリストファが身近に感じられると同時に、ヒトの意識と感情の探求を隠し描いているようにも見えてしまいます。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*NTLサイト、http://www.ntlive.jp/curiousincident.html