■同じ夢

■作・演出:赤堀雅秋,出演:光石研,麻生久美子,大森南朋,木下あかり,赤堀雅秋,田中哲司
■シアタートラム,2016.2.5-21
■日常の裏側をみるような舞台美術は気が滅入る。 トイレの掃除・親の介護・汚物の処理・老人の性欲・スーパーやコンビニでの粗雑な買物と食事が追い打ちをかける。 これだけの他人が一つの家に集まって来るのも現実味は無いが救える。
しばらくして目が釘付けになっていくのがわかる。 それは台詞と台詞の隙間がリズムミカルに観る者へ届くからである。 これが心地よいのだ。 この隙間には何も無いように見えるのだが人間関係のエキスが詰まっている。 これは役者身体と観客の相互で作り出すものである。
この演出家の作品は何回か観ている。 今までこの隙間は状況や風景に挟まれていた。 小津安二郎の方法に似ている。 今回は科白と科白に挟まれているところが違う。 映画的リズムを保ちながら関係性の遣り取りを舞台に巧く作れたように思う。 そして「いつでも夢を」がこれに共鳴し他者との繋がりに豊かさを作った。 昭雄と美奈代、元気と靖子の煮え切らない恋愛関係が何となしに終わってしまったのもストーリーを壊さなかった。 この題名にしたのも分かる気がする。
*劇場サイト、http://setagaya-pt.jp/performances/20160205onajiyume.html