■書を捨てよ町へ出よう

■作:寺山修司,演出:藤田貴大,劇団:マームとジプシー
■東京芸術劇場・シアターイースト,2015.12.5-27
■舞台は工事現場ね。 パイブや板で足場を築いて演技の途中で移動したり組み替えたり解体していくの。 もちろん役者が上り下りをする場面もある。 面白いのは音楽にドラムの生演奏を使ったことかな。 耳障りにならない素晴らしい演奏だった。 物語にリズムを与えていたわ。
1971年の作品は生活の匂いがあった。 戦後木造の家々が連なる東京の風景。 新宿の猥雑な街角。 書物も全てを捨ててこの生活から飛び出したかった。
そして45年後の舞台は飛び出した後の話なのね。 生活の匂いも、ねっとりした身体も過去に置いてきてしまった。 都電の線路も歩かなくなった。 セックスはもはや器械体操。 それでもあの科白は生きていると思わない? 「そうやって観客席に腰かけて待っていても何も始まらないよ・・」。
*劇場サイト、http://www.geigeki.jp/performance/theater097/