■タンホイザー

■作曲:R・ワーグナー,指揮:J・レヴァイン,演出:O・シェンク,出演:J・ボータ,P・マッティ,E=M・ヴェストブルック,M・D・ヤング
■新宿ピカデリ,2015.11.28-12.4(MET2015.10.31収録)
■粗筋は読んでいったけど流石に舞台は違う。 終幕残り3分の逆転ホームランもあって4時間半はアッという間ね。
時空は激しく飛ぶけど滞在時間が長い。 そこで愛の本質が語られるがその周辺には宗教が纏わりつくの。 懺悔や贖罪、聖母マリアの言葉を深く理解できなくてもワーグナーの劇的舞台が迫ってくる。 言う事無し。
舞台は異界ヴェーヌスベルクから巡礼街道へ、次に歌殿堂から再び巡礼街道へ。 タンホイザの迷いで異界が迫って来るがエリザベトの死によって彼も巡礼街道に留まり息を引き取り幕が下がる・・。 坂の途中にあるこの街道が物語的にとても良く出来ている構図なの。 そしてP・ブリューゲル「バベルの塔」の土と緑を思い出させる色彩が印象的ね。
寡黙な「彷徨えるオランダ人」と違ってタンホイザは饒舌だわ。 対極にいる女神ヴェーヌスもエリザベトに見劣りがしない。 振幅が大きいのはワーグナーの才能かもしれない。 ところでタンホイザの竪琴は見ていられない。 指まで動かすから歌唱の時に気が散ってしまう。 ヴォルフラムのようにサラッと動かして頂戴。
*METライブビューイング2015作品
*主催者サイト、http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2015-16/#program_03