■痕跡あとあと

■作・演出:桑原裕子,劇団:KAKUTA
■シアタートラム,2015.12.5-14
■空き地が広がっている。 その周りに低い棚を置きそこに色々なモノが詰まっている。 川に浮いているゴミのようなモノを見て夫々の人生が詰まっているとカメラマンは言う。 上演時間の長さを感じさせない舞台だった。
ほぼ謎が見えてからは生みの母親と息子は必ず再会するはず。 それをどう描くのだろうと想像しながら観てしまった。 はたして母は、乗って来たよろける自転車を立て直してくれた人が写真の若者だと気付き振り返ったところで幕が下りた。 抑えていて軽いが渋味のある終幕である。 
難しい場面で演出家の苦労した跡もみえるが、息子を育てた父の証言は言い訳が過ぎる。 
「生みの親より育ての親」は社会の底を流れている川である。 育ての親の周りには戸籍問題や偽装結婚、生みの親の代表である妊婦姿や出産話が川に浮かんでいるモノのように散らばっていた。 子供もその川を流れて来るのである。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/20151205atoato.html
*2016.1.4追記:初演が青山円形劇場と聞いて舞台構造に納得(「休むに似たり」ヨリ).