■エレクトラ

■演出:鈴木忠志,演奏:高田みどり,出演:SCOT
■吉祥寺シアタ,2015.12.19-26
■東京でSCOTを観ることができて嬉しい。 車椅子はもはや身体の延長になっている。 「世界は病院」が日常化したような車の滑らかさだ。 しかし緊張感のある舞台だ。 エレクトラの鋭い眼差しと科白の少なさの為である。 台詞はコロスが受け持っているから尚更である。 打楽器演奏がそれを一層盛り上げる。 母クリテムネストラも妹クリソテミスも人間味ある科白で生きている実感が見えた。 だがエレクトラは鈴木様式が研ぎ澄まされ過ぎて逆に存在感が薄くなってしまった。 感動も固まってしまったような観後感だ。
アーフタトークで鈴木忠志は・・。 「劇的なるものをめぐって」の再演はしないのか?との観客質問で、「世界の状況が変わったからしない。 ギリシヤ神話の一部作品は現代社会の問題を突いているので上演する・・」。 他に「若い演出家は他人の作品をあまり上演しないようだ。 面白い現象である・・」。 「芝居を選んだ理由は身体・音楽などあらゆるジャンルを取り込み社会問題と対峙できるからである・・」。 こんな質疑応答だったとおもう。
*劇場サイト、http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2015/10/scot-2.html