■國語元年

■作:井上ひさし,演出:栗山民也,劇団:こまつ座
■紀伊國屋サザンシアター,2015.9.1-23
■「小学校唱歌集」が時々歌われるので長閑な気分になります。 「全国の話ことばを統一」を仕事とする明治時代の文部省役人南郷清之輔が主人公です。 方言がこれほど問題にされていたとは知りませんでした。
南郷家の清之輔は長州、妻が薩摩、そして女中、車夫、書生、居候がそれぞれ地方のお国訛りで喋る。 話している意味は掴めないが雰囲気でわかるから楽しい。
言葉がテーマですからメタ井上作品と言ってもいいでしょう。 この為ストーリーも凝りに凝っているのではないのか?と思いきや直球しか投げて来ない。 曲球は創造言語「文明開化語」だけでしたね。 言葉と苦闘する清之輔がそのまま作者の姿に繋がっています。 でも国語と国家の関係は問題提起だけで終わってしまった。 「軍隊言葉の統一」がこの目的だったので筋の調整がやり難かったのでしょう。 井上作品の持っている毒が効いていないように見えました。
*劇場サイト、https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20150618130000.html