■無頼茫々

■作・演出:詩森ろば,劇団:風琴工房
■ザスズナリ,2015.9.12-20
■主人公堂海栄吾が日之出新聞記者の職を得て上京する新橋駅から舞台は始まります。 早々米騒動に遭遇する堂海は社会問題を批判的に捉えながら新聞とは何かを論じていく。
そして1918年白虹事件が起こる。 この事件で大阪朝日新聞は「不偏不党」を掲げました。 「これは権力への追随である」とチラシに載っていたが主人公の言葉でもある。 はたして日之出新聞も紛糾してしまい記者たちはそれぞれの道を歩んでいくというストーリーです。
結婚式場面を終幕に持ってきたのは主題を逸らしてしまったようにみえます。 新郎新婦の付き合いは物語の付け足しだったこと、式場に主人公が不在なことでもわかります。 「不偏不党」を否定した事が有耶無耶になってしまった。
オピニオンを強調するジャーナリズムとどのように向き合っていけばいいのか? 現代は堂海栄吾の描いた時代に見えますが権力批判への過程は複雑化しているようです。 主人公を現代に甦らせたいですね。
新聞社付小説家が重要な言葉の説明をしたり、踊りながら事務室机の一部を切り取って卓袱台に変え和室に早変わりするなど場面切り替えは面白かった。
*CoRichhttps://stage.corich.jp/stage/67113