■明治悪党奇譚

■原案:河竹黙阿弥,作・演出:佐藤伸之,出演:オフィスパラノイア
■「劇」小劇場,2015.5.1-6
■因果の繋がりを粛々と進めていかないと二時間では終わらない。 強弱リズムをどこに付けるか? 主人公を誰にするのか? この舞台では十三郎とおとせのようだが少し影が薄い。 三人吉三は時代に追いつけず主人公になれない無法者にみえた。 形式的科白が多かった為かもしれない。
お坊吉三は適役だろう。 伝吉は堅気になったら滑らかさが出てきたし、おみやの存在感の面白さには笑ってしまった。
主人公不在の因縁果を積み上げていくと、江戸から明治の変化する時代意識が舞台に現れてくる。 夜鷹や巡査も主人公として組み込まれていくようだ。
下北沢をブラブラ歩きながら思い返してみたが、明治時代の東京湾沿いで何日か生活してきたような観後感だった。 現代からみれば悪党揃いだが、死が身近な当時からみるとちょっと外れた人々の明治庶民群像劇かもしれない。
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