■聖地X

■作・演出:前川知大,劇団:イキウメ
■シアタートラム,2015.5.10-31
■何が出るか?驚きの劇団だから粗筋も読まず劇場へ行ったの。 縦波模様の壁に照明が映えていて簡素だけど素敵な美術ね。 シンプルで社会性に拘っている衣装も。
兄と妹、上司と部下の小気味よい対話が現代を巧く捕まえている。 台詞の切れ味の良さと役者の動きの面白さが行き届いていたわ。
積極的に信じることでヒトやモノが出現する事象はSFではよくある。 これをドッペルゲンガーに結び付けたのがミソね。 でも分身たちを強引に一つにする苦労が見えすぎている。 たとえば終幕、差異の解消に3人目の会社員東を作ったことで流れを混乱させてしまった。 この苦労が喜劇にみえる。
データへの過剰依存は舞台を冷えさせてしまう。 結局は科学と宗教の境界線上を歩く戦慄がやって来なかった。 よくできている舞台だったから少し残念。 観後早速にドッペルゲンガーを調べたけど、この言葉の奥には謎が無いかもしれない。 この言葉を選んだ時点で境界線は遠のいてしまったのね。
*劇場、https://setagaya-pt.jp/performances/20150510-3089.html