■じゃのめ

■作:秋之桜子,演出:松本祐子,出演:西瓜糖
■下北沢駅前劇場,2014.8.29-9.5
■飛び移れる程の狭い路地に挟まれた二階の二部屋が舞台です。 上手は会議室、下手は娼婦栄子の部屋。 二階から道路を見下ろす演技が活きています。 面白い舞台構造ですね。 チラシには関東大震災と治安維持法の大正時代を背景に「痴人の愛」を参考にしたようなことが書いてあります。 東日本大震災も重ねているようです。
全体に男尊女卑が色濃く表現されていました。 これを下地にして人間関係に迫るのは大変ですね。 結局、肝心な事はオブラートに包んでいるようにみえました。
西条との政治スキャンダラスも寄り道です。 雅枝が同志になる為、南高に対して何も言わないのも腑に落ちません。 愛のみえないセックスを<聞いている>のも気が散ります。
でも栄子と雅枝がテニスでダブルスを組もうと話をする場面は記憶に残りました。 些細な件ですが彼女らの深いところがチラッと見えた気がしました。 他の決定的場面の多くは物語を成長させることができない。 また高井と雅枝二人の科白内容や演技の硬さも芝居が煮詰まらない原因にみえます。 しかし面白くまとめてしまうのは演出家に力があるからでしょう。
*劇団サイト、http://livedoor.blogimg.jp/suikatou-2018/imgs/d/e/de26f0fd.jpg