■ヤマトタケル

作:梅原猛,演出:市川猿翁,出演:市川猿之助,市川中車
新宿ピカデリ-,2013.9.28-(新橋演舞場,2012.6収録)
ヤマト政権を<米と鉄を持ってきた外来民族>として描いている。 ヤマトタケルはなぜ熊襲や蝦夷を討伐するのか? それは熊襲や蝦夷の制度や民の考えが古くなりすぎて時代にそぐわないからである。 彼は熊襲や蝦夷の神的パワーを獲得しながら成長していく。 結果、腐敗したヤマト政権はあらゆるものを取り込んで新たに成長していく雑種民族として描かれることになる。
舞台衣装や激しい立ち回りはまるで京劇のようだ。 台詞は簡素で分かり易いし、ストーリーは静と動が混ざり合って飽きさせない。
市川猿之助はスポーツカーを匠に運転しているような演技である。 抑制が効いていてパワーが必要な個所はちゃんと出している。 そしてヤマトタケルとしての言葉と行動が見事に一致する為物語にリズム感が出ている。 先日の彼が出演した「ヴェニスの商人」を観逃したのは残念!
*シネマ歌舞伎第19弾作品