■プラモラル

作・演出:佃典彦、出演:劇団B級遊撃隊ほか
スズナリ、2013.7.24-28
ほとんど裸の舞台に男1が「わが町」に似せて進行役で登場します。 男1は名前を付けられわが町の住民として話が進みます。「わが町」は自治会・小学校・PTAなどが絡み日本的裏側を持った組織です。 噂・イジメ・不倫などの話が笑いを取りながら続きます。 現実社会の断片の再現は巧い。
しかし少しずつ過激になっていきます。 舞台に血だらけの人が暴力沙汰で倒れそのまま放置しているのもそれを暗示しています。 最後にモラルの完全崩壊が起こり町は燃えてしまいます。
モラル崩壊時点でも役者の演技に変化がありません。 ストーリーの目的・内容と役者演技の乖離から来る異化効果を狙ったようです。 しかし残念ながらこれが作動しません。 それは役者の演技が舞台と同じ裸に近いため差異が大きくなりすぎた。 一種のシラケが現れたてしまったのです。 これで動物の登場も子供の芝居のようになってしまった。 終幕のブランコ場面は劇的ですが時すでに遅しです。
ところで演出家が「・・他者に認識されるとはどういうことか?」がテーマだと言っていました。 男1が名前を付けられ舞台他者と関係を持つ認識過程のことを言っているのでしょうか? テーマの意味もよくわかりませんでした。