■カルデッド

作・演出:中村暢明、出演:JACROW
下北沢・OFFOFFシアター、2013.7.24-31
自殺に関する4本の短編集。 第一話「甘えない蟻」は東日本大震災後に家族が離散し父親が自殺する話である。 筋がよくわからないまま終わってしまった。 なぜ自殺したのか? 携帯や特にパソコンの使い方がシックリしていない。
第二話「スーサイドキャット」は高校での虐めのようだ。 なぜ自殺したのか? 両親と先生の対話はよくある内容だが緊張感が走る。 しかし友達や先生との不倫の関係に突っ込みがない。 チグハグな感じがしてまとめ切れていない。
第三話「リグラー2013」は仕事の成績が上がらず自殺したようだ。 課長だけが自殺した部下の姿が見える。 なぜ課長だけに見えるか? その理由がみえない。 会社員を経験している者には身につまされる場面が多々あった。
第四話「鳥なき里に飛べ」は樹海の自殺者を思い留まらせる話である。 相撲という身体動作が自殺の意味を投げ飛ばしてくれる。 希望のみえる舞台である。
前三作は煮え切らない。 ただし自殺の周辺は熟れていたが。 自殺だけが取り残されてしまった感じだ。 短編特有の切れ味が欲しかった。