■鳥瞰図

■作:早船聡,演出:松本裕子
■新国立劇場・小劇場,2011.5.10-22
■老女将と息子が経営している釣船の店が舞台。 作者は磯の香りを観客に届けたかったのでは? でもカサゴ・あなご・白キスの大文字看板や部屋に飾ってある海岸や釣船の額縁写真は最後まで知らん顔のままだ。
浮気や離婚など複雑にみえる人間関係は中途半端で女性週刊誌を読んでいるようだ。 食べる場面も多過ぎる。 玉蜀黍・西瓜・煮物・アイス・オムレツ。 これが噂話と絡み合いテレビドラマのようだ。
そして時間が経っても登場人物の過去の結びつきが結晶化していかない。 だからミオによそよそしかった佐和子が親しみの態度に急変した心理も頷けない。 孤独死峯島の葬儀で終幕にするのも東京湾の死に、掛けているようだが感動は小さい。
残念ながら磯の香りは届かなかった。 細部が分散と停滞のまま俯瞰したので毒にも薬にもならない舞台になってしまったようだ。
*チラシ、http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage20353_1.png?1414393069