■THE LONG STRONG HAPPY DEATH

■演出:北村明子,音楽ディレクター:横山裕章,出演・振付:井田亜彩美,黒田勇,鈴木ユキオ他
■シアタートラム,2025.11.1-3
■観客層は女性が7割ほどだろうか。 学生と思しき若い人も多く見受けられた。 舞台が始まり、まず北村明子が登場する。 過去の舞台が脳裏に甦る。 彼女の舞踊は武術的な要素を感じる。 切れ味が鋭く加速度のみえる動きは、まるで武術の型のようだ。 詳しくはないが、そう思わせる力がある。
続いて7人のダンサーたちが舞台を駆け巡る。 時折、一人の老人が歌唱や詩の朗読をしながら歩き回る。 また、東南アジアらしい都市や海の風景が映像として映し出される。
しかし、ダンサーたちは切れ味のある動きを控えている。 むしろ日常の延長のような鈍くて激しい動きが多い。 子供が真剣にはしゃいでいるようにもみえる。 格闘を思わせるような挑発的な振付もあり、観る者に迫ってくる。
背景に映し出される静寂感のある詩句とは対照的なダンサーの動きに戸惑いを覚えた。 「此岸と彼岸の混ざり合う世界、微かな呼吸と音の粒が、ひとつのざわめきとして始まろうとしている」、・・、「声も名も持たない者たちが、ただそこに在る、何も共有しないまま、同じ空気を吸い、やがてそれぞれの夢へと帰っていく」。 これは資料に記されたストーリーの始まりと終わりである。
観終えた時、この激しく燥ぐ姿こそ<法>を外れたアジアの踊りであり姿なのだと、振付家がそう語り掛けているように聴こえた。 アジアの生と死の境界が舞台に甦ってきた。
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