■ウィリアム・テル

■原作:フリードリヒ・シラー,作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ,指揮:大野和士,演出:ヤニス・コッコス,出演:ゲジム・ミシュケタ,ルネ・バルベラ,オルガ・ペレチャッコ他,演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2024.11.20-30
■「日本での原語上演は初めて・・」とある。 客席は略満席かな? 上演4時間半は長い。 お馴染みの序曲も生演奏で聴くのは初めて。 スイスの山々を木霊するホルン?の響きが気持ち良い。 でも1幕は方向性が無く混乱してしまった。 2幕はそれが見えてきたわね。 皇女マティルドが登場しないと始まらない。 アルノルドとのデュオ、アルノルドとテルと仲間の三重唱でやっと目覚める。 つまり<身分違いの恋>と<スイス圧政からの解放>が平行していく作品ね。 ここまでは前者の方が圧倒的に面白い。 それはアルノルドのテノールが効いていたからよ。 でも4幕迄で両者が互角になる。 観後感が盛り上がらないのは二兎を追ったためかしら? バリトンのテル、ソプラノのマティルドを含め招聘3人のタイムリーな声を聴けたのは嬉しい。
具体的な地方史や村人の生活風景を取り入れた物語と聞いている。 それが架空の時代と国に変換されてしまった。 第二次世界大戦中のレジスタンスのような農民、20世紀アバンギャルド的なダンス、現代の機動隊に近いオーストリア軍隊・・。 スイスを体験できる! と思っていたがその欠片も無い。 ちょっと残念ね。 演出家ヤニス・コッコスは「抑圧される者の歴史を扱いたい」と言っていた。 現代に繋がる演出を強く感じ、厚く熱い声の合唱団にもそれが表れていたのは確かだわ。
車椅子の客が多くなってきた。 オペラは特に高齢化が急速に進んでいるのが分かる。 千人近い若者を無料で劇場に招待するニュースにも驚かない。
*NNTTオペラ2024シーズン作品
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ヤニス・コッコス ・・検索結果は2舞台.