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■2024年舞台ベスト10

*当ブログに書かれた作品から最良の10本を選出. 並びは上演日順. 映像(映画・配信)は除く. ■ 田園に死す   演出:天野天街,劇団:流山児★事務所 ■ デイダミーア   演出:中村蓉,指揮:鈴木秀美,歌団:二期会 ■ 初級革命講座・飛龍伝   演出:マキノノゾミ,劇場:スズナリ ■ メディスン Medicine   演出:白井晃,劇場:世田谷パブリックシアター ■ 饗宴 SYMPOSION   演出:橋本ロマンス,劇場:世田谷パブリックシアター ■ 朝日のような夕日をつれて2024   演出:鴻上尚史,劇場:紀伊国屋ホール ■ リビングルームのメタモルフォーシス   演出:岡田利規,劇場:東京芸術劇場 ■ さようなら、シュルツ先生   演出:松本修,劇団:MODE ■ 品川猿の告白   演出:マシュー・レントン,劇団:ヴァニシング・ポイント ■ 象   演出:EMMA(旧・富永純子),劇団:SPAC *今年の舞台映像は,「 2024年舞台映像ベスト10 」. *今年の能楽は,「 2024年能楽ベスト3 」. *今年の美術展は,「 2024年美術展ベスト10 」.

■2024年舞台映像ベスト10

*映像(映画・配信など)で観た舞台公演から最良の10本を選択. 並びは観賞日順. ■ 唐茄子屋、不思議国之若旦那   演出:宮藤官九郎,劇場:平成中村座 ■ アマゾンのフロレンシア   演出:メアリー・ジマーマン,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,劇場:メトロポリタン歌劇場 ■ ロメオとジュリエット   演出:トマ・ジョリ,指揮:カルロ・リッツィ,劇場:パリ・オペラ座バスチーユ ■ かもめ   演出:レオニード・アニシモフ,劇団:東京ノーヴエイ・アート ■ ワーニャ   演出::サム・イェーツ,劇団:ロイヤル・ナショナル・シアター ■ ザ・モーティヴ&ザ・キュー   演出:サム・メンデス,劇団:ロイヤル・ナショナル・シアター ■ ナイ、国民保健サービスの父   演出:ルーファス・ノリス,劇団:ロイヤル・ナショナル・シアター ■ 蛮幽鬼   演出:いのうえひでのり,出演:劇団☆新感線 ■ 魔弾の射手   演出:フィリップ・シュテルツル,指揮:エンリケ・マッツォーラ,主催:ブレゲンツ音楽祭2024 ■ グラウンデッド、翼を折られたパイロット     演出:マイケル・メイヤー,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,劇場:メトロポリタン歌劇場 *今年の舞台は,「 2024年舞台ベスト10 」. *今年の能楽は,「 2024年能楽ベスト3 」. *今年の美術展は,「 2024年美術展ベスト10 」.

■2024年能楽堂ベスト3

*当ブログに書かれた能楽から最良の3本を選出. 並びは上演日順. 狂言は除く. ■ 春日龍神  (かすがりゅうじん)   観世流,出演:山階彌右衛門,林本大,武田祥照ほか ■ 放下僧  (ほうかぞう)   喜多流,出演:大村定,大島輝久,則久英志ほか ■ 鵺  (ぬえ)   金春流,出演:高橋忍,舘田善博,善竹大二郎ほか *今年の舞台は,「 2024年舞台ベスト10 」. *今年の舞台映像は,「 2024年舞台映像ベスト10 」. *今年の美術展は,「 2024年美術展ベスト10 」.

■能楽堂十二月「川上」「正尊」

*国立能楽堂十二月特別公演の□2舞台を観る. □狂言・和泉流・川上■出演:野村万作,野村萬斎 □能・観世流・正尊(起請文・翔入)■出演:観世清和,観世三郎太,福王茂十郎ほか ■国立能楽堂,2024.12.25 ■「川上」は・・、盲目の夫が地蔵菩薩に快癒を祈願するが、それが実り目がみえるようになる。 と同時に菩薩は「妻とは悪縁のため離縁しろ」とのお告げをした。 でも離縁をせず夫は再び盲目になる生活を選ぶ。 奇跡を捨て過去からの日常を優先する話である。 奥が深い作品だ。 「正尊(しょうぞん)」は出演者が多い。 地謡と囃子を含めれば30人になる。 刺客である土佐坊正尊が義経の前で起請文を読み上げる場面には圧倒された。 声に役者の心身が充満している。 後に続く静御前の中ノ舞、義経と正尊の両軍の戦いも見応えがあった。 今年最後の能楽堂に相応しい舞台だった。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/12144/

■世界の果てからこんにちはⅢ

■演出:鈴木忠志,出演:平野雄一郎,石川治雄,飯塚祐樹ほか,劇団:SCOT ■吉祥寺シアター,2024.12.13-22 ■・・舞台奥に狩野派風の襖が見え、薄暗い床に縞模様の照明がおちている。 そこへ車椅子の役者達が次々と入退場し日本と日本人を憂慮する科白を吐いていく。 結婚観や明治維新、組織論などが語られる。 途中、ダンサー6人の力強い踊りが2度入り、美空ひばりで幕を下ろす・・。 昭和時代の雰囲気が充満しています。 社会性ある内容のため感情を抑えたシンプルな流れの舞台でした。 演出家のアフタートークを聴く。 ・・「利賀村の人口は400人に減少している」「南瓜を2000個作った」「トレーニングに32か国150人が参加した、但し日本人は参加してくれない」「利賀の劇場は我々が管理しているので自由に使える、でも東京ではこれが出来ない」「役者を育てるのには時間がかかる」「同志あっての劇団である」。 「「日本について考える」をこの舞台のテーマにした」「西郷隆盛を考えてみた」「日本は地方と東京の格差が激しい」「ダンスには3か月を費やした」「吉祥寺公演は今回が最期かも」「全員を出演させた」等々を話す・・。 将来の利賀劇場をどうする?どうなる? 演出家にとってこれが悩みのようです。 事業継続は全ての分野で現代の課題になっている。 特に利賀は舞台思想を引き継ぐとなると難易が高い。 ところで、客席を見回すと若返っていますね。 中年世代が増えている。 団塊世代が劇場から急速に遠退いているからでしょう。 1960年代後半から舞台を観始めた彼らも今や後期高齢に入った。 よく行く能楽堂の客層も同じ傾向です。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/349994 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、鈴木忠志 ・・ 検索結果は27舞台 .

■グラウンデッド、翼を折られたパイロット

■作曲:ジャニーン・テソーリ,演出:マイケル・メイヤー,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,出演:エミリー・ダンジェロ,ベン・ブリス,カイル・ミラー他,演奏:MET管弦楽団 ■新宿ピカデリー,2024.12.13-19(メトロポリタン歌劇場,2024.10.19収録) ■ジャニーン・テソーリは歌手エミリー・ダンジェロの為にこの曲を書いたと言っている。 はたして主人公ジェスであるエミリーは完璧に嵌まっていましたね。 彼女の安定感ある声に痺れました。 しかもジャニーンは演劇作曲家からスタートしている。 その為かストーリーもリアルで申し分ない。 ・・ジェスは空軍パイロットで「トップガン」ならトム・クルーズでしょう。 彼女は牧場主と出会い女子を出産するが、空が忘れられない。 再び空軍の扉をたたくが、職場はドローン操縦部署へ。 しかし精神的に追い詰められ遂には職務を放棄し軍法裁判にかけられ有罪になってしまう・・。 上下に二分割した舞台構造です。 上が空=空軍=職場、下が地=牧場=家庭と言ってよい。 上では激しい照明や映像が観る者を戦場へ連れていく。 科白も生々しい。 戦闘がモロに出ている場面は賛否もあるはず。 下では家庭生活が描かれる。 ジェスは上下を行き来する。 シンプルかつ機能的で良くできた舞台です。 彼女が遠隔操縦するドローンはリーパーという機種で全長20m以上ありパイロットとセンサー員の2名で構成されている。 米国ラスベガスにある空軍基地で操作をしながら中東戦地の上空  1.5 万mを飛行しながら標的に向かってミサイルを発射する。 現代の戦争の一面が現れていました。 まるでゲームのように進んでいく。 登場するセンサー員は優秀なゲームプレーヤーのため空軍に引き抜かれたらしい。 しかしジェフは画面の中に子供を見つけてミサイルを発射できなかった。 彼女はゲームのような画像だけの世界から逃げたかった。 出産や子育の経験がある彼女こそ肉体が疼く古典的な戦争マシーンなのかもしれない。 「・・私は戦争!」。 ・・! *METライブビューイング2024シーズン作品 *MET、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/6007/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、マイケル・メイヤー ・・ 検索結果は2舞台 .

■イエス、たぶん

■作:マルグリット・デュラス,演出:長野和文,出演:稲川実加,芹澤あい,深沢幸弘:劇団:池の下 ■劇場MOMO,2024.12.13-15 ■マルグリット・デュラスの舞台を観るのは13年ぶりです。 忘れていた彼女の作品を思い返す。 1968年の作品らしい。 たぶん脂が乗りきっている時期でしょう。 核戦争後の世界を描いている。 このテーマは映画や舞台で今なら幾らでも見ることができる。 先見の明があります。 ・・舞台は記憶を失った二人の女と生き残った兵士の3人が登場する。 兵士は心身喪失状態です。 断片的な言葉から過去と現在を微かに知ることができる。 それは核戦争の記憶です。 女は、そこから前進するしかない。 あとからくる子供たちの為に・・。 「二十四時間の情事」で被爆地に出会い、「かくも長き不在」の記憶喪失を経て、そして五月革命の中で「・・もうロマンは読めなくなった。 バルザックやプルーストのように書くことは出来ない」とデュラスは言う。 「イエス、たぶん」はその先にあるのでしょうか? *池の下第30回公演海外作品シリーズ *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/343757 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、長野和文 ・・ 検索結果は2舞台 .

■能楽堂十二月「察化」「通小町」

*国立能楽堂十二月普及公演の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・察化■出演:松本薫,島田洋海,綱谷正美 □能・金剛流・通小町■出演:豊嶋彌左衞門,豊嶋幸洋,飯冨雅介ほか ■国立能楽堂,2024.12.14 ■プレトーク「恋愛妄執物の源流」(小田幸子解説)を聴く。 ・・「「通小町」は唱導師が書いて金春権守が演じ観阿弥が改作」「「百夜通い」と「あなめ」の二つの説話で構成」「前シテは「若女」「老婆」の二つあるが今日は前者」「現代的で珍しい対立対話」などなど・・。 詞章を読んだときの疑問「酒を飲まないことで救われるのが唐突すぎる」の答えとして「些細なことでも成仏できるのが仏教である」。 なるほど。 「通小町」は役者・地謡・囃子の総合力が発揮されていた。 でもシテの登場で現実に戻されてしまった。 からだの衰えがもろに出ていたからだ。 シテ役豊嶋彌左衞門は1年前の「雪」に登場していたがそこまでは感じられなかった。 80歳代が衰える速度は若い時の10倍以上に当たる。 これではシテ面「痩男」とツレ面「小面」の年齢差を元通りにできない。 「察化(さっか)」は太郎冠者の口真似が見どころである。 徹底した真似が究極に至り哲学的にみえてしまった。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/12123/

■象

■作:別役実,演出:EMMA(旧・富永純子),出演:阿部一徳,牧山祐大,榊原有美ほか,劇団SPAC ■静岡芸術劇場,2024.12.7-15 ■先日の「 正三角関係 」に書いたが今年は原爆関連の舞台が多い。 今回も主人公が被爆者です。 不条理劇とあったがシュールも詰まっていた。 これが冴えていました。 別役実の舞台が面白いと思ったことは少ない。 科白や動き、その余白が計算され尽くしていないことが多いからです。 今日の舞台はこれらをクリアしていましたね。 広い舞台のため役者の入退場でリズムが乱れたが、それ以上に若さ溢れる別役舞台を十分に楽しめた。 背中がケロイドで覆われた主人公の新興宗教に嵌まったかのようなギラギラ感が印象的でした。 戦後の過剰な人間関係を持つ主人公の体に、被爆者への差別が徐々に沁み込んでいく。 そしてジメッとした薄暗い病院へ看護婦や妻がシュールを運んでくる。 患者たちの遣り切れなさが漏れてきます。 シュールは不条理の材料でしょう。 チラシ「被爆者の悲劇は不条理を求める」(大沢真幸)を帰りの新幹線で読む。 「・・悲劇は神の定めたこと。 ・・だから(観客は)主人公に英雄としての尊厳や崇高を感じる」。 被爆は神が与えた使命なのか? 現実の悲劇を受け止めるのに不条理劇がある、と言う。 悲劇と不条理劇の関係に納得です。 この作品は深津篤史演出で観ていました。 別役実の毒気にあてられて深津特有のシュール感を出せなかったが、近未来的に描いたことで不条理劇にまとめ上げたと記憶しています。 *SPAC2024シーズン作品 *劇場、 https://spac.or.jp/au2024-sp2025/elephant

■正三角関係

■作・演出:野田秀樹,出演:松本潤,長澤まさみ,永山瑛太ほか,劇団野田地図 ■配信,2024.12.2-(東京芸術劇場・プレイハウス,2024.7.11-8.25収録) ■配信を見つけたので自宅パソコンで観る。 「一度視聴を開始すると4時間で視聴可能期間が終了します」。 この制約があったが食事等で時間を使い果たし途中で終了、再度チケットを購入するはめになってしまった。 特に野田秀樹の舞台は一気に観ないといけない。 ついウッカリです。 いつもながらのテンポ有る役者の言葉と演技そして場面展開が続きます。 この心地よさを充分に楽しみました。 「カラマーゾフの兄弟」をモチーフにしているようだが気にしなくてもいい?でしょう。 時代は第二次大戦末期、場所は長崎の地ですか? 三兄弟が花火師、核物理学者、聖職者という職業は意味深ですね。 原子爆弾製造を巡り物語の結末が予想される。 舞台の全てが父殺しの被告長男の裁判中継で成り立っていること、父と長男の愛人グルーシェンカを聖職者である三男が二役で演ずること、次男が造る原爆の起爆剤に長男花火師の技を利用すること、ここに構造の面白さが見えます。 「フェイクスピア」では日航機123便墜落だったが、今回は長崎への原爆投下で幕が下りる。 再び「カラマーゾフの兄弟」との関係を考えたがよく分からなかった。 三男の相反する二役が邪魔をしたから? でも、これこそ原作への解釈かもしれない。 そして日航機も原爆も、「星の王子様」も花火師も、空を見上げることから物語が始まりそして終わる。 これは確かなようです。 この舞台を含め「オッペンハイマー」「ドクター・アトミック」など、今年は原爆関連が多かった。 *NODAMAP第27回公演 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/320034 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、野田秀樹 ・・ 検索結果は14舞台 . *「白衛軍」(上村聡史演出)チケットを購入したが体調不良で観に行くことができなかった、残念!

■能楽堂十二月「茶子味梅」「鳥追」

*国立能楽堂十二月定例公演の□2舞台を観る. □狂言・和泉流・茶子味梅■出演:小笠原由祠,野村拳之介,野村万禄ほか □能・宝生流・鳥追■出演:辰巳満次郎,内藤端駿,福王茂十郎ほか ■国立能楽堂,2024.12.4 ■「茶子味梅(ちゃさんばい)」は九州箱崎(福岡市)に住む夫婦の揉め事を舞台にしている。 唐人の夫が故郷を懐かしむ。 これを妻は気に食わない。 異国夫婦の面白さが出ている。 「鳥追(とりおい)」は薩摩の領主が長留守の間に彼の妻子を家来が虐める話である。 鳥追いとは稲に群がる鳥を追い払う作業を指す。 賤しい仕事だったらしい。 領主の妻子がこれをさせられるが、そこに旦那が帰ってくる・・。 「時代を越えた人々の普遍的感情と薩摩風景が一体化した作品」と解説にある。 その通りの内容で清々しい舞台だ。 また登場人物の動き、囃子や地謡の調子など全体構造がしっかりとまとまっている。 これも見事だ。 心が洗われた。 シテ面は「曲見(しゃくみ)」(河内作)。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/12121/

■品川猿の告白

■原作:村上春樹,演出:マシュー・レントン,出演:那須凛,サンディ・グライアソン,伊達暁ほか,劇団:ヴァニシング・ポイント ■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2024.11.28-12.8 ■原作は読んでいない。 これが良かった。 謎を持つ展開にドキドキしました。 謎とは名前の不思議です。 観ながら「ゲド戦記」が脳裏に浮かぶ。 「海辺のカフカ」の舞台も同様だった。 知能を持った猿が愛する人間女性を獲得する為に彼女らの名前を盗む。 盗まれた女性たちは自分の名前を忘れてしまう。 猿にとってはプラトニックラブですが、一つの愛の形でしょう。 村上春樹の舞台はいつも凝っている。 下手をすると解説になってしまうからです。 細かい詰めが必要です。 それを乗り越えた今日の舞台は素晴らしかった。 スタッフが2年半の歳月をかけただけはあります。 人物や道具の移動は無理無駄斑がない。 謎解きカウンセラーも出しゃばらない。 猿の演技も楽しい、特に尻尾がいい。 温泉宿も雰囲気が伝わってくる。 下水道の澱んだ空気に響くブルックナーの異様さもです。 二か国語も気にならなかった。 一番は背景にスモッグを利用していることでしょう。 人物たちが異界(煙の中)からやってきて異界(煙の中)へ帰っていく。 これこそ舞台の醍醐味です。 終幕、みずきと母の関係は衝撃的でした。 村上春樹舞台のクライマクスは文学的です。 脳味噌が先ずは優先する。 身体は後回しだが、これも悪くはない。 *劇場、 https://www.kaat.jp/d/shinagawa_monkey

■ウィリアム・テル

■原作:フリードリヒ・シラー,作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ,指揮:大野和士,演出:ヤニス・コッコス,出演:ゲジム・ミシュケタ,ルネ・バルベラ,オルガ・ペレチャッコ他,演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 ■新国立劇場・オペラパレス,2024.11.20-30 ■「日本での原語上演は初めて・・」とある。 客席は略満席かな? 上演4時間半は長い。 お馴染みの序曲も生演奏で聴くのは初めて。 スイスの山々を木霊するホルン?の響きが気持ち良い。 でも1幕は方向性が無く混乱してしまった。 2幕はそれが見えてきたわね。 皇女マティルドが登場しないと始まらない。 アルノルドとのデュオ、アルノルドとテルと仲間の三重唱でやっと目覚める。 つまり<身分違いの恋>と<スイス圧政からの解放>が平行していく作品ね。 ここまでは前者の方が圧倒的に面白い。 それはアルノルドのテノールが効いていたからよ。 でも4幕迄で両者が互角になる。 観後感が盛り上がらないのは二兎を追ったためかしら? バリトンのテル、ソプラノのマティルドを含め招聘3人のタイムリーな声を聴けたのは嬉しい。 具体的な地方史や村人の生活風景を取り入れた物語と聞いている。 それが架空の時代と国に変換されてしまった。 第二次世界大戦中のレジスタンスのような農民、20世紀アバンギャルド的なダンス、現代の機動隊に近いオーストリア軍隊・・。 スイスを体験できる! と思っていたがその欠片も無い。 ちょっと残念ね。 演出家ヤニス・コッコスは「抑圧される者の歴史を扱いたい」と言っていた。 現代に繋がる演出を強く感じ、厚く熱い声の合唱団にもそれが表れていたのは確かだわ。 車椅子の客が多くなってきた。 オペラは特に高齢化が急速に進んでいるのが分かる。 千人近い若者を無料で劇場に招待するニュースにも驚かない。 *NNTTオペラ2024シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_028775.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ヤニス・コッコス ・・ 検索結果は2舞台 .