■夢遊病の女

■作曲:V・ベッリーニ,指揮:マウリツィオ・ベニーニ,演出:バルバラ・リュック,出演:妻屋秀和,谷口睦美,クラウディア・ムスキオ,アントニーノ・シラグーザ他
■新国立劇場・オペラハウス,2024.10.3-14
■ガランとした広い舞台にアミーナの歌唱が響き渡る。 壊れてしまいそうで少しハラハラしたわよ。 エルヴィーノの筋が鍛えられたテノールは安心して聴いていられる。 合唱団も伸びがあり余裕が感じられた。 団が舞台を動き回らなかったから? それより、この作品はこの劇場の特長と合致しているのかもしれない。
演出がとても変わっていた。 二度目の夢遊状態ではアミーナが屋根の上で演技をするの。 落ちやしないかと又もハラハラ。 夢遊病には罹っていないようにみえる。 しかも屋根の上で幕が下りてしまう。 「人生をどう生きるかを決めるのはアミーナ自身・・」。 演出家が言っていた通りの終わり方ね。
そうそう、10人のダンサーがアミーナの周りで踊るのも驚きね。 彼らは病自身を表現しているらしい。 衣装が灰色系で顔も薄く炭を塗っているので目障りにならない。 これも面白い演出だとおもう、あとロドルフォ伯爵の女好きも。 でも、何枚もの洗濯シーツはどういう意味?、入浴は不要かな、そして大きな動力機械は何なの? すべてが夢遊病的な美術だった。 うん、楽しい。
作曲家が考えた(であろう)恋人や村人の舞台感覚が素直に現れていたとおもう。 MET2008年作の「夢遊病の娘」を8月に観ているが、やはり生舞台は最高。 観後は心身が生き返ったわよ。
*NNTTオペラ2024シーズン作品