■セツアンの善人
■作:ベルトルト・ブレヒト,音楽:パウル・デッサウ,台本・演出:白井晃,出演:葵わかな,木村達成,渡部豪太ほか
■世田谷パブリックシアター,2024.10.16-11.4
■・・主人公シェン・テが失職中の飛行士ヤン・スンに恋をしてから盛り上がってきましたね。 そして一人二役のシュイ・タが登場して俄然面白くなった。 後半、彼の煙草事業の成功や従業員の対応で物語の二面性が見えてくる・・。
音楽劇というより歌唱の多い演劇とでも言うのでしょうか? 舞台美術も箱家の丸窓がアジアの都市を、天井の扇風機は飛行機を連想させる。 衣装はカラフルだが派手さを抑えている。 そして歌唱は10曲くらいあったがこれも衣装に合わせた歌詞です。 演奏も歌手の動きを邪魔しない。 演出家の好みと総合力が発揮されていました。
現代は善と悪の二項対立の表面が見え難くなっている。 この舞台は一つの善ともう一つの善を比較、具体的には互酬社会と資本社会を対立させている。 時代は前者が不利だが、一人二役で両者が一心同体であることを演出家は言いたいのかもしれない。
ところで、老人が劇の終わり方に不満だ!と言っていた。 後味を噛みしめるところで解説して舞台を壊してしまいましたね。 <一人二役>のまま幕を下すのがこの作品の妙味でしょう。
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