■午後の曳航

■原作:三島由紀夫,作曲:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ,台本:ハンス=ウルリッヒ・トライヒェル,演出:宮本亜門,指揮:アレホ・ペレス,出演:北原瑠美,新堂由暁,小森輝彦ほか,演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
■日生劇場,2023.11.23-26
■主人公ノボルの父権を望む一直線な行動が物語を分かり易くしていた。 三島由紀夫のエキスを飲まされた感じがするわね。
無彩色の美術と無調風な楽曲が同期して物語の緊張感をより高めていた。 ドイツ表現主義を思い出したように舞台に暗闇が立ち現れてきたわよ。 ダンサーは黒子にもなり、ノボルの分身としても動き回り結末を急がす。
ノボルが母フサコを覗き穴からみる近親相姦的行為、ノボルと船乗りツカザキの同性愛的戯れ、フサコとツカザキの過激なベットシーン、どれも抜群の演出ね。 そこにヘンツェの曲が取り囲み感情をより不安にそしてより高揚させてくれた。
とても完成度の高い舞台だった。 でも観後のカタルシスは無い。 ノボルの狂気への暴走とフサコの小市民的幸福の崩れる幕切れが脳裏に引っかかってしまったからよ。
*二期会創立70周年記念公演
*日生劇場開場60周年記念公演
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