■シモン・ボッカネグラ

■作曲:G・ヴェルディ,指揮:大野和士,演出:ピエール・オーディ,美術:アニッシュ・カープア,出演:ロベルト・フロンターリ,イリーナ・ルング,リッカルド・ザネッラード,ルチアーノ・ガンチ他,管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2023.11.15-26
■硬い印象を持ったのは初演のためかしら? 演出と美術は無機質な劇場をさらに冷やしていた。 ベスビオ火山を逆さに吊るしただけの、だだっ広い空間に立つ歌手には孤立感が漂う。 父娘の哀楽は霧散していく。
演奏は当劇場を熟知している指揮者で聴きごたえ十分よ。 祖父と父、そして夫になる3人に囲まれた紅一点のアメーリアを中心に歌手たちは熟練の歌唱力をみせてくれた。
でもドラマ性は感じられない。 たぶん歌唱をじっくり聴いてくれと言っているのね。 ある意味この劇場らしい演出だった。
初登場ルチアーノ・ガンチのテノールが場内に響いていたのが印象深い。 5人もの招聘歌手の共演はさすがに豪華だった。 でも皆が濃厚のため逆に躍動感に欠けてしまったかな?
*NNTTオペラ2023シーズン作品