■能楽堂十一月「竹生嶋詣」「実盛」

*国立能楽堂十一月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・大蔵流・竹生嶋詣(ちくぶしままいり)■出演:茂山千之丞,茂山宗彦
□能・宝生流・実盛(さねもり)■出演:朝倉俊樹,殿田謙吉,則久英志ほか
■国立能楽堂,2023.11.11
■「竹生嶋詣」に行ってきた「抜参り物」である。 でも旅話の楽しさは無い。 太郎冠者の駄洒落で笑わせる作品だ。
プレトーク「実盛の「執心」とは何か」(佐伯真一)を聴く。 実盛はなぜ亡霊となりこの世に戻ってきたのか? この一点に収束していく。 それは戦いで大将木曽義仲の首を取りたかったからである。 武士の執念と言える。 実盛の生涯から始まり、松尾芭蕉「おくの細道」、多太神社「実盛の兜」、呪術的行事「実盛送り」、柳田國男の豊作祈願「さなぶり」などを持ち出して話を面白くしていた。
遊行上人や里人の科白を聞いていると、実盛討死二百年後の加賀国篠原で亡霊が出現するその場に居る気分を持つことができる。 室町時代にワープできた。 緊張感あふれる舞台だった。 シテ面は「三光尉」だが笑いが微かに漂う。 ここは喜怒哀楽を消す面を付けていたら文句無しだったと思う。 しかし、実盛は僧の前で微笑んでいたのかもしれない。