■能楽堂九月「空腹 そらはら」「薄」

*国立能楽堂九月企画公演の下記□2作品を観る。
□復曲狂言・空腹■出演:野村又三郎,野口隆行
□復曲能・薄■出演:金剛永謹,有松遼一,山本則秀
■国立能楽堂,2022.9.23
■どちらも復曲作品である。 狂言「空腹」は男が何某にカネを借りにいくが断られる。 そこで男は心にもなく切腹するぞ!と何某を脅す。 しかし逆に切腹を勧められてしまう。 男は切腹から逃げようとするが・・、カネも欲しい。 さいごまで気を揉む舞台だ。
能「薄」では<薄の精>が登場する。 能世界の山川草木の描写はどれも素晴らしいが、これは植物学的な作品にもみえる。 なんと薄の種類まで謡われる。 薄を愛でた登蓮法師を回向する話だが補陀落信仰に繋がるらしい。 「舞金剛」と言われるように後場の序之舞が見所である。 増女が似合う。 前シテは小面だった。 絣?衣装がゴワゴワしていて踊り難いようにみえたが。 「・・今は忘れ去られてしまった」。 鴨長明の無常観に繋がっていくのだろうか?