■マーキュリー・ファー MERCURY FUR

■作:フィリップ・リドリー,演出:白井晃,翻訳:小宮山智津子,出演:吉沢亮,北村匠海,加藤将樹ほか
■世田谷パブリックシアター,2022.1.28-2.16
■「2015年日本初演の衝撃が再び!」とチラシにある。 多くの謎と溢れる血で衝撃を受けたことを未だ覚えている。 ということで、再び観ることにしました。
麻薬と暴力、残酷へ進む性的倒錯、そして戦争へ。 初演から7年たっても衝撃力がありますね。 幻覚に侵された身体からみえる世界を描いている。 そこに登場人物が好んで語る過去がその世界を重層化していく。 狂気の精神と血塗られた肉体の対比が鮮やかです。
しかし今日の舞台をみて多くの謎は消えてしまっていた。 狂気も世界の一つとして納得してしまった為です。 観客の私がこの7年で変ったから?それとも世界が狂気に近づいたから? ところで客席の殆んどが若い女性とは驚きでした。 贔屓筋でしょうか?
*追記・・プログラムを開くと演出家が愛について語っていた。 そういえば激しい状況下で、それを促す台詞が散りばめられていました。 しかし硬い言葉の交換が多く、愛というより家族の絆を求めるようなものにみえた。 今再び6人の関係を辿ると(広義の)愛が光り出し作品に深みを与えていたのを確かに感じます。