■夜叉ヶ池

■作:泉鏡花,演出:宮城聰,音楽:棚川寛子,美術:深沢襟,衣装:竹田徹,出演:永井健二,布施安寿香,奥野晃士ほか,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2022.1.22-3.5
■美術や衣装が凝っていますね。 役者たちのマスクもです。 異界の白雪姫と家来の鯉・蟹・鯰の演技が派手で楽し過ぎる。 このため晃・百合夫婦を含めた村人たちの物語が異界から離れてしまった。 彼岸と此岸の境界を彷徨う面白さが薄くなったのは免れないでしょう。
そして地上では、晃と百合の死に向かう姿を強調していましたね。 動かぬ二人の白装束姿はロミオとジュリエットです。 その要因となった村人の行動や掟は現代共同体をも通底している。 「ときは現代」の字幕に作品の意図が感じられる。 鏡花を現代に如何に取り込んで表現するのか? 中高生鑑賞事業作品らしい作り方です。
ところで鏡花を打楽器だけで表現するのは難しい。 今回はメリハリを出して物語を巧く引き立てていました。 鏡花的感動は少ないが充実した舞台でした。 総合芸術としての満足感がありました。
*SPAC2021秋春シーズン作品