■愛の妙薬

■作曲:G・ドニゼッティ,指揮:G・デスピノーサ.演出:C・リエヴィ,美術:L・ペーレゴ,出演:砂川涼子,中井亮一,大西宇宙ほか,演奏:東京交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2022.2.7-13
■先ずは目に入った緞帳デザインが前回舞台を思い出させてくれた。 この作品も同じ演出が長いということね。 コロナ禍が続くと演出更新は当分お預けかな? 今回も「さまよえるオランダ人」と同じ状況になり入国制限で指揮者と歌手が変更になってしまった。
凡庸な三角関係を物語にしたこの作品が何故こんなにも面白いのか? 「好きだ」「好きかな?」「結婚したい」「結婚できるかな?」、「結婚しよう」、これしか言っていない。 三角関係は多くの人が経験しているはず。 自身の記憶や思い出などを重ね合わせて観るから味がでるの。 ・・娘アディーナとネモリーノはお互い好きなのに彼女はベルコーレにも接近してしまう。 終幕、ネモリーノからの愛の言葉に彼女はやっと決心する・・。
この作品は振付(仕草)も大事ね。 それは心理描写が単相だから。 軍曹や偽医者は過去(経歴)を持っているから仕草が上手い。 でもアディーナとネモリーノは何者なの? 二人は歌唱のみで勝負するの? 巧い仕草は物語が活きてくるが、でも脇道かもしれない。 そしてアディーナはソロはともかくデュオ以上は太い歌唱でいきたい、ここの広い劇場では埋もれてしまう。 ところで合唱団は近ごろ集中力が感じられる。 胸に迫ってくるわよ。
*NNTTオペラ2021シーズン作品
*追記・・プログラム掲載の「作品ノート」(香原斗志著)は面白く読ませてもらった。