■The Life and Times

■振付:ジョアン・クレヴィエ,舞団:スコティッシュ・ダンス・シアター
■vimeo・配信,2021.10.15-25(ダンディー・レップ・シアター,2021.6収録)
■「東京芸術祭」2本目の配信です。 それも配信用に作成された映像作品らしい*1。 この舞団の舞台は初めて見る。
基本の振付は数種類あるようです。 足裏を床から離さないで身体を等速度に動かす形が特に目立った。 しかし多くはパフォーマンス系に近い動きです。
板に車を付けた台車を活用し、それを引っ張ったり乗ったりして画面の左から右へ人の流れを作る。 ガイドに「テンプス・フギト(時は流れる)」とあったが、その<流れ>を意識しているようです。
撮影は70分でワンショットらしい。 しかもカメラも舞台に上がってダンサーの間をぬって撮影している。 これも<流れ>でしょうか?
ところで、男女一組のコントのようなパフォーマンスを所々に挿入している。 パンを食べたり大工や料理をするが、最期に小麦粉で粉塗れになってしまう。 二人の演技は日常を思い出させます。
バロック系音楽はダンスに合っていたが、しかし「時が流れてる」ようには見えない。 日常場面とダンスが分離していた為でしょう。 ダンスも繋がらず積み重なっていかない。 むしろ「空間が流れる」に近い舞台でした。 ところで「時は流れる」を聞くと人生の儚さを考えてしまう。 この先入観が作品の見方を狭くしてしまったようです。 
(以下よりインタビュー映像の感想)
付録のインタビュー映像(40分)を見る。 出席は振付家、ダンサー、撮影担当の3人、司会は長嶋確。
振付家ジョアンはコミュニティダンスを重視しているらしい。 これを聞いてダンサーたちの距離感や関係性に納得。 観客はカメラ視点を強制させられるので時間より空間を意識してしまったことにも納得。 バロックは絵画的と訳していたが強引すぎるかもしれない。 撮影はとても巧かった。 カメラマンに拍手!
*東京芸術祭2021参加作品
*1、生舞台をそのまま映像に収めた場合はブログのラベルを「映像」に、それ以外は「映画」にしています。 今回は「映像」にしました。