■ヴァネッサ Vanessa

■作曲:サミュエル・ハーバー,演出:キース・ウォーナー,指揮:ヤクブ・フルシャ,出演:エマ・ベル,ヴィルジニー・ヴェレーズ,エドガラス・モントヴィダス他,演奏:ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団,グラインドボーン合唱団
■NHK・配信,2021.10.11(グラインドボーン音楽祭歌劇場,2018.8.14収録)
■スタッフの目が隅々まで行き届いている美術・照明にみえる。 大きなガラス壁を挟み舞台を前後に分け二つの場面を同時進行させていくの。 壁は映写幕にもなる。 シンプルだけどとても繊細ね。 ソファーをみるとボロボロなの。 それが年季の入った模様にみえる。
時代も場所も分からない。 観後に調べたら1905年の北国のカントリーハウスとある。 でも演奏を聴いて連想するのはアメリカの映画音楽だわ。 舞台からは作者の故郷ペンシルベニアを思い浮かべてしまった。
ヴァネッサの時は20年間止まっている。 愛するアナトールの息子が訪問しても昔のアナトールで押し通す。 彼女はアナトールが好きになった姪エリカとの関係を壊し彼と結婚してしまう・・。
ヴァネッサの愛は直截に進む。 それはエリカにも言えるわね。 二人は誤ってしまうが人生は短い。 すべてが終わって、エリカはヴァネッサがしていたように鏡を布で覆ってしまう・・。 老いた者たちに安らぎを! 女性の生き方について考えさせられる舞台だった。