■チェネレントラ Cenerentola

■作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ,指揮:城谷正博,演出:粟國淳,出演:ルネ・バルベラ,上江隼人,脇園彩ほか
■新国立劇場・オペラパレス,2021.10.1-13
■舞台は映画制作の現場に仕立てているの。 そこはチネチッタかもしれない。 撮影用クレーンに乘る黒帽赤マフラー姿の監督は当にF・フェリーニだわ。 でもイタリアのネットリ感が無い。 劇場の乾いた雰囲気がそれを拒むから、そして華麗な美術・衣装からハリウッドを感じさせるから。
アンジェリーナ役脇園彩は自信がみえる。 タイトロールの名に恥じない歌いっぷりね。 王子ラミーロ役ルネ・バルベラはオペラ・ブッファの楽しさを持って来てくれる。 白塗り化粧と変わった髪型の合唱団も隅に置けない。 全体像は劇場得意の総合力で押し切った感じかしら。 相撲で言えば白鵬の強さね。
物語りは劇中劇を取っているようだけど<外の劇>と<内の劇>との関係がイマイチだった。 再び<外の劇>に戻らなければいけないのにそのまま<内の劇>で幕が下りてしまった(?)から。 まっ、それはどうでもいいの。 ロッシーニを久しぶりにエンジョイしたわよ。
シーズン開幕公演かつ新制作でも1階席を見回すと観客は6割の入りかな。 コロナの影響が続いていることがわかる。 ところで休憩中に客の一人が転倒してしまったの。 この劇場は転倒が多い。 理由は場内が広くホワイエから客席まで距離があり、しかも特有な階段仕様だから。 東京文化会館と比較しても客席を歩くときは倍の緊張感が必要よ。   
*NNTT2021/2022シーズン作品