■物語なき、この世界。

■作・演出:三浦大輔,出演:岡田将生,峯田和伸,柄本時生ほか
■シアターコクーン,20201.7.11-8.
■自分探しを発展させたのが物語探しかな? 発展とは「因果律によって世界を梱包してみせる思考ゲーム」に参加することよ。 そう・・、登場人物はいつもゲームに向かってしまう。 主役は誰で脇役は誰か? 監督ならこう考える?演出家ならそう考える? そして皆はその役割をはたしていく・・。 モノハラ(物語ハラスメント)も発生しそう。
そして科白には<物語>という言葉が必ず入る。 これで「世界を梱包」した対象は解説的に陥る。 これは梱包演劇だわ。 しかも梱包すると真面目になるの。 こんなに真面目な作品になるとは演出家も驚いているんじゃないかしら? おっパブやファッションヘルスも肉化されず梱包されてしまう。
二人の主人公、菅原と今井の冴えない関係が面白く描かれていた。 同じように高校時代さえもパケット化されてしまう。 その時代を身体的に関係付けができない。 恩師の話も続かない。 でも今井の歌は二人のシラケを上手に消したかな?
脇役では、スナックママ橋本が二人を3Pに誘うのは全体の流れからみて脱線。 これがなければママ最高よ! それと巡査妻の浮気も不要。 スタッフが物足りないと感じてしまったから。 どれほど足しても解説を呼び込む梱包演劇だから物足りなさは消えない。 観客層はお嬢さんが多いし、ここは直系劇場の限界も出たのかな? それはともかく、物語とは何か? 物語りと舞台の関係をいろいろ考えされられたわね。
ところで、道具造りは最高だった。 建物を展開しながら室内を見せるのは近頃の流行りだけどとても良く出来ていた。 色とりどりのネオンサインに映像を混ぜ合わせた風景は歌舞伎町の華やかさと寂しさに変換されていたと思う。
*「ブログ検索」に入れる語句は、 三浦大輔