■解体青茶婆

■作・演出:横内謙介,出演:有馬自由,砂田桃子,山中崇史ほか,劇団:扉座
■座高円寺1,2021.6.30-7.11
■死体解剖と聞いて浮かぶのは養老孟司でしょう。 次はレオナルド・ダヴィンチですか? この舞台の主人公、江戸時代の蘭学医、「蘭学事始」「解体新書」著者の杉田玄白は知らないことが多く観後にいろいろと調べてしまいました。
江戸時代、腑分け(解剖)用の死体を得るのがナゼ難しかったのか? 死体は身近にあったはず。 様斬(ためしぎり)を含め死体管理が厳しくなったようだが合点がいかない。
その貴重な献体となる悪人青茶婆がどのような経緯で腑分けにされたのか? 当時の三権と庶民の生活や信仰などを織り交ぜてそれを語り継ぐ流れです。
そこでは玄白と医学塾の弟子たちが、蘭学揺籃期に得られた肉体の事実、つまり人間すべてが同じ内臓を持っていることを基にして人間が平等であることを認め、忌み嫌われた職業、ここでは死体処理を支えた穢多・非人にもこれを適用していく。
 分け隔てなく治療し苦痛を和らげるために誠心誠意で努める、という医学の大意が背景にある為か舞台は羽目を外すような勝負に出ません。 このため経緯説明が多くなります。 それは講談の形をとったりする。 説明を重ねながら舞台が進んでいく。
無難にまとめましたね。 久しぶりに古き良き舞台に出会った感じもしました。 得能万兵衛の幕切れの科白「この世は、なかなか捨てたもんではない。・・」に作品のオチが現れています。
扉座を観るのは初めてです。 会場雰囲気が違いますね。 中年男女が多い。 劇団の歴史が窺えます。
*劇団扉座第70回公演,40周年記念作品
*「ブログ検索」に入れる語句は、横内謙介