■ばらの騎士

■台本:H・V・ホフマンスタール,作曲:R・シュトラウス,指揮:U・シルマー,演出:ジョナサン・ミラー,出演:リカルダ・メルベート,ユルゲン・リン,ステファニー・アタナソフ
■新国立劇場・オペラパレス,2017.11.30-12.9
■よく観る作品だけど飽きない。 複雑な花びらを持つ薔薇のような楽曲は他オペラと違って何とも言えない感情に浸ることができるの。 特に一幕、元帥夫人の人生観にシックリ溶け込んでいく。 指揮者シルマーの演奏も良かったしメルベードは十分に応えている。 そして20世紀前半のドイツ映画の華やかな場面も思い出させてくれる。 二幕、三幕は喜劇が前面に出てしまうけど気にならない。
元帥夫人とオックス男爵は当時のドイツ語圏上流社会での表裏の関係で根っこは同じよ。 イタリア圏貴族のオクタヴィアンとファーニナルと対になっているのも舞台雰囲気で分かる。 ゾフィーは未だどこにも属さない。 ハプスブルク帝国の複雑さかもね。
演出も美術も前回2015年と同じだけど今回のほうが練れていた。 でもオックス男爵がちょっと慣れ過ぎよ。 もう少し抑えてもいい。 舞台美術はとても気に入っているの。 今年のオペラの取を飾るのに相応しい舞台だった。
*NNTTオペラ2017シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_009637.html