■ダンシング・ベートーヴェン

■監督:アランチャ・アギーレ,振付:モーリス・ベジャール,音楽:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン,指揮:ズービン・メータ,出演:ジル・ロマン,モーリス・ベジャール舞踊団,東京バレエ団,演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
■新宿武蔵野館,2017.12.23-(スイス・スペイン,2016年作品)
■年末に第九を聴けるので一石二鳥ですね。 でも舞台作成過程のドキュメンタリーの為そうはいかない。
生舞台は観ていません。 動きの構造は円形のようです。 ダンサーは円を描くがローザンヌ地方の宗教的な形らしい。 また合唱付きのため声と踊るのはとても楽しいとダンサー達は言っている。 楽器ではなく歌唱と舞踊の出会いはどこかで宗教性を帯びるはずです。 円形もそれを助勢している。 同時に「人類は皆兄弟」の思想が貫かれているのを感じます。 スタッフやキャストにもこれが浸透している。 気持ちがいいですね。
でも、映画は冬のローザンヌ・春の東京・夏のローザンヌ・秋の東京と進んでいくがどれも同じ内容に見えてしまう。 風景は変わるが練習の進捗が明確でないし時間が前後して作品が均一化されてしまっている。 編集が悪いのかもしれない。 監督(映画)の責任でしょう。
モーリス・ベジャール自身が踊る1950年代の映像を観た時は震えが来たことを覚えています。 それは脳味噌を飛び出し脊髄にまで広がる強烈な感動でした。 「彼は瞬間を生きるダンサーだった」と(誰かが)語っていましたがその通りだと思う。
ところでジル・ロマンが登場したときはジョージ・ハリスンに、特に顎鬚が伸びているところは、似ていますね、話し方もです。 彼の娘マリア・ロマンがインタヴュアーで登場しますが上手いとは言えない。 三浦雅士にインタヴューする時でも円環はともかく面白い話を引き出せていない。 まっ、しょうがないでしょう。 一瞬映ったパンフレットのベートーヴェンの似顔絵が三浦雅士にそっくりで笑ってしまいました。
*作品サイト、http://synca.jp/db/