■あしたはどっちだ、寺山修司

■監督:相原英雄,出演:寺山修司,九條今日子ほか
■シアター・イメージフォーラム,2017.12.2-(2017年作品)
■寺山修司の市街劇「ノック」に彼の生い立ちを重ねたドキュメンタリーなの。 親戚や同級生の話は驚くことばかりね。 子供時代の日常生活を彼は世間から隠したかった。 舞台のように語りは騙りに近づいてく。
彼は「市街劇を上演したい」と最後まで拘るの。 市街劇「犬」は市民生活の中へ過激に食い込んでいく内容にみえる。 家族関係を解放する為にね。 経験からこの解放が全てを解放すると確信していたはずよ。 しかし愛憎渦巻く母との関係はどうしようもない。 家族写真を破っては再び繋ぎ合わせるしかない。
「ノック」担当者は当時を振り返る。 「ノック終了間際に彼は不可解な中止を宣言してしまった」。 そして親族の一人も語る。 「作品の終わり方はいつも同じだ。 役者の一人ひとりに議論をさせるように台詞を喋らせて幕が下りる」。
寺山修司は家族の破壊と再構築を目指した。 でもどのように再構築すればよいのか結論が出なかったの。 その迷いが作品の終わり方にいつも現れている。 あしたはどっちだ!?、と。
「寺山修司展「ノック」」(ワタリウム美術館,2013年)
*作品サイト、http://www.planet-e.co.jp/ashitahadocchida/