■TOUCH OF THE OTHER-他者の手-

■原案:ジョナサン・M・ホール,演出:川口隆夫
■スパイラルホール,2016.1.15-17
■チラシをみるとLGBTがらみの舞台らしい。 川口隆夫も久しぶりなので観に行くことにする。 しかし予想外の中身で最初は戸惑う。 社会学者ロード・ハンフリースの研究「公衆トイレにおける男性間の性行為」をもとにしたパフォーマンスであった。 実際のトイレでの観察結果を再現するのだが役者は観客から募った。 希望者が結構いたことは客の感心と質の高さが窺える。 これを3パターン演じたあと今度は映像で再現する。 途中休憩をはさみ後半はパフォーマンス系ダンスで締めくくる。
前半の研究資料の再現は現実味がある。 同性間の愛の特長である「短時間の刹那的な結びつき」を表現するのはそれなりに高度な舞台になるとおもう。 「完璧な距離」も同じだ。 映像はこれに沿った見応えのあるものだったが、舞台は資料の強さが前面に出てしまっていた。
孤独に向き合わないと人と人との結びつきの多様性に気づかない。 愛と孤独は表裏の関係でもある。 孤独の質が変化しているこの時代に異質な者同士の結びつきをも取り込むことは必然の流れだろう。
*作品サイト、http://www.kawaguchitakao.com/toto/index.html