■三人姉妹

■作:A・チェーホフ,演出:三浦基,劇団:地点
■神奈川芸術劇場・中スタジオ,2015.3.9-22
■体育館のような空間です。 天井から白樺が10本近くぶら下がっています。 そこに汚れた硝を嵌めた可動式の長い壁が一つ置いてある。
 役者たちは絡みつきながら床を這いまわります。 セリフは高低を強調した喋り方ですが、思い立ったように顔を手で伏せ溜息のような声を発したりもします。 噂話や退屈なこと、死の恐怖そして父やモスクワの思い出が独白のように続きます。 断片的ですが心に食い込んできます。 楽隊の音楽が忘れた頃になると聞こえ哀愁を漂わせます。 曲名は知りませんがロシアも運んできます。
リズミカルな流れでは無い。 動きと科白が非同期になり沈黙も訪れます。 このとき現実に戻され役者の素顔が現れます。 存在感を保てるか否か? 上手い下手がよく見える舞台ですね。
台詞を喋る役者はその身体に宿る自分と対話しているようです。 じゃれ合い這いまわるのは「人は世界とすれ違う」ことから逃れられない身体表現だからでしょう。 他者を求める意味が蒸発してしまった姿です。 演出家の言っているリアリズム演劇なのでしょうか!? 観た後は脳味噌がリアルになったせいか「今日こそ、ざまぁ見ろ」と呟いてしまいました。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/SANNIN